古き良きWebサイト
デザインの中でもWebデザインはスタンダードなデザイン、もしくはロングライフデザインというようなものが難しいなーと思っています。本当に普遍的なWebデザインとなると、Wikipediaみたいになってしまうんじゃないでしょうか。
印刷物や建築などと違って、アウトプット先が常に変化しているというのが大きいと思っていて、(他にもいろいろ理由はあるけど今回は置いておきます)
スマートフォンにしてもパソコンにしても、サイズ・解像度・ブラウザの機能どれもどんどん刷新されるので、今に最適化して作ったものは必ず古くなっていってしまいます。
だから何年も前に作られたサイトだけど、良いサイトだねー、というのが、Webの世界ではあんまりなくて、古いサイトはやっぱり古くさく見えてしまうのです。
でも、古いけどいいなというサイトにも、ごくたまに出会います。
ここ数ヶ月、毎週のように通っている近所のうどん屋さんがあります。
今住んでいる所に越してきてもう6年になるのに、この夏までずっと、なぜかその存在が視界に入っていませんでした。
(そういう、近所すぎて行く機会のないお店が私はけっこうあります)
ある夏の日、ものすごく疲れてお腹ぺこぺこで前を通りかかった時にふと店の前の看板のメニューをちゃんと見てみてちょっと心を惹かれ、あらためて店の外観を眺めてみると、窓から少し店の中が見えて、雰囲気は悪くなさそう。
中に入ってみたら、きちんときれいでいい感じ。そしてうどんもそばも丼物も、どれもおいしかったのです。
それ以来、週一レベルで通っております。6年間も目に入っていなかったのに、何てことだ……。
Webサイトの話に戻りますが、
帰宅後、このお店のサイトがあるか検索してみたら、ちゃんとありました。サイトはまあ古くて、たぶん10年以上前に作られたものだと思います。(Webデザイナーは、Webサイトを見ればいつ頃作られたのかだいたい分かります)
デザインもサイトの作りも古さを感じられるものではあったけど、このサイトの良いところはブログがほぼ毎日更新されているところ。
新メニューとか、今日の営業は通常通りとか、少し早仕舞いしますとか、今ならSNSに投稿すれば良い内容かもしれないけど、なんとなくこのブログをみると「今日も行こう」という気分になってしまうのです。
簡単に更新できるInstagramでもTwitterでもなく、ちょっとめんどくさいけどブログを毎日更新している姿勢に、毎日出汁をとってお店を開けるうどん屋さんらしいひたむきさを(勝手に)感じているのかもしれません。
ただ残念なのは、サイトは独自ドメインなのにブログがアメブロで、せっかく毎日ブログを更新されているのにSEO(※)に繋がっていないところ……。
まあ、ご近所さんに支えられているお店だから、別に検索上位を狙わなくても良いのかな。店名か、うどん+地名で検索すればちゃんと出てくるし。例によって食べログがトップではありますが。
逆にここのサイトがリニューアルして今っぽくなったら寂しいので、どこかのWeb制作会社に見つけられて営業をかけられない事を祈っていたりします。
いちお客でいたいから自分から営業なんかしないけど、他の人にリニューアルされるのは嫌だという複雑なWebデザイナーごころなのです。
※SEO・・・Googleなどの検索エンジンで、検索結果の上位にWebサイトが表示されたり、表示される回数を増やしたりする為に色々すること。