みなさま、マルチタスクは得意でしょうか？私は1件だけだと煮詰まってしまうので、複数案件同時進行のほうがパフォーマンスが上がるタイプではあるのですが、得意と言えるほど鮮やかにこなせるわけでもなく、塩梅が難しいなぁと思っています。

フリーのwebクリエイターとして仕事を始めてから長い間、デザインとコーディングを自分でやる（時には写真を撮り、イラストを描き、テキストも書く）というスタイルでやってきましたが、ここ数年はwebブランディングを含めたディレクションから関わらせていただく事がほとんどになり、またありがたいことにお仕事にも恵まれて、タスクが膨れ上がっていました。
今年の初めには、進行中のプロジェクトとスタート予定のプロジェクトで既に年内のスケジュールがほぼ埋まってしまい、新しいお話が来ても受けられなくなってしまいました。

これはもうお仕事を手伝ってくれる方を増やし、自分にしかできない事に集中するべきだなと思いつつも、この試み、実は二年ほど前から挑戦してきているのですが、多忙になればなるほど「他の人にお願いする暇がない」という状態になりがちでした。
仕事をお願いするのって、また別の能力が必要です。長い間、一から全部自分でやってきたという個人事業主さんには同じ悩みを持っている方も多く、クライアントさんからもよく聞く話です。
しかし、それではいつまで経っても「自分でやった方が早い」状態から抜けられません。

20年以上自分でコードを書いてきたので、やっぱりコーディングは自分の仕事だという思いも捨てきれず。一線を退いてしまうと、コーディングという手堅いスキルが錆び付いてしまうのではないかという心配もありました。

とはいえ、クライアントさんは別に私が書いたソースを見て依頼してくださっているのではないし、大事なのはいかにクライアントの皆さんのビジネスやブランドをのびのびと成長させるか。つまりディレクションとデザイン。ここに自分の持つ力と時間を最大限集中させるぞと、年始に決意したのでした。

そういうわけで、コーディングについてはLilacMimosaさんという素晴らしいマークアップエンジニアさんにお願いしています。2年ほどのお付き合いになるのですが、今年からは連携を強化し、私はほぼコーディングから手を引かせてもらっています。
きっちりとデザイン通りに美しく、ユーザーへの気配りを忘れずコーディングしてくださって、しかも私よりもずっと読みやすくきれいなソースを書かれるので、できあがった画面とソースを見ていつも惚れ惚れしています。（ソースのきれいさはサイトの見た目には直接影響しないのですが、複数人で作業する時にはとても大事です……）

そしてこれもありがたいことに、素晴らしいフォトグラファー、ライター、イラストレーター、広報等々の方々が周りにたくさんいらっしゃいますので、もうどんどん皆さまのお力を借りていこうと思っています。今これを書いているのは7月なのですが、だいぶそのスタンスが馴染んできたかなと思っています。

ここで問題になるのが、こうやっていろんな方を巻き込んで複数案件を同時進行していくにあたって、自分がデザイナーとしてその中にいると、俯瞰で進行管理をするのが難しくなるという事です。
実はこれがここ数年、人にお仕事をお願いして案件を回していく中で度々つまづいてきたポイントでもありました。

という悩みを新年早々、私の英語学習のコーチでもある松嶋友紀さんに聞いてもらってたんです。（彼女との英語レッスンは、日常のよもやま話を英語でダラダラ話すというもの）
もし、進行管理をしてくれるAIがあったら欲しい！などとぼやいていたら、「私それ、できますよ」と仰るではありませんか。
本当に思ってもみなかった提案だったので「えっ？いやいや、えっ？」ってなりました。

でも、英語全然関係ないよ、そんなの嫌じゃないの？（←進行管理は自分が苦手な事なので、率先してやろうとしてくれる人の気持ちが理解できない）と聞いたところ、彼女はフリーで翻訳をしつつ、私のような英語学習者のコーチをしてますが、独立する前は特許事務所に勤めていて、そこでまさに特許申請の進行管理をしていて、そもそもそういうのは得意だと言うのです。

よく考えてみると、私の周りの人たちの中で松嶋さんほどスケジュール管理がしっかりしている人は他にいない。
翻訳の仕事をお願いすると、必ず締切より少し前に仕上げてくれる。
朝は毎日6時頃には起き、夜は10時頃には就寝という規則正しい生活。（私は限界まで仕事をして死んだように眠りにつくパターンで、完全に夜型かつ不規則）
常に早め早めに動き、待ち合わせに遅刻した事なんか一回もない。
メールの返信も素早く、1日返ってこないという事などまずない。彼女が英語コーチとして続けているサービスとして「Daily Chat」という、毎日一言英語でメッセージをしてもらって英語で返信するというのがあるんですが、毎日いつ来るか分からないメッセージに返信する義務を自ら課すなんて私には信じられない！

と、考えれば考えるほど私にない部分をたくさん持っていて、しかも、けっこう長い付き合いの中で（彼女とは「act」というクリエイターチームでも色々なアートプロジェクトをやってきています）さんざん私の至らないところも見ているはずなのに、その私の面倒を見てくれるなんて、こんなありがたい話はないんじゃないだろうか。

というわけで、お申し出をありがたく受けまして、今年1月より松嶋友紀さんにみふくデザインのプロジェクトマネージャーとして加わってもらっております。
クライアントさんとのグループチャットに入ってもらう事も多いので、今後スタートを控えているクライアントさんには、また改めてご紹介させていただく機会があるかと思います。よろしくお願いいたします。

最後に今後のスケジュールについてですが、現在のところ、新規案件を動かせるようになるのは来年以降になるかと思います。これを書いてしまうと「なんだ、すぐ動けないのか」と思われてしまって、せっかくみふくデザインに興味を持ってくださった方を遠ざけてしまうのではないかと思って二の足を踏んでいたのですが、やはりちゃんとお知らせしておかないとと思いました。（最悪の場合は土日稼働して何とかしてきたのですが、土日も埋まってしまう事情がありまして……これは次回書ければと思っています）
そして来年も夏頃まで結構埋まってきていますので、もしみふくデザインにwebを頼んでみたいとご検討の方はお早めにご相談いただければ幸いです。

本当にいろんな方に助けていただいて楽しくお仕事させていただいておりまして、ありがたい限りです。お引き受けしたからには、全力で良い仕事をさせていただきます。新体制となりましたみふくデザインを、今後ともよろしくお願いいたします。

（写真はwebサイトを作らせていただいた安藤智さんの個展にて。会場のLE PRIEURÉさんもみふくデザインがwebサイトを制作していただきました）